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【61】スーパー盲腸になった話(2)
というわけで続きです。
どうも単なる腹痛や熱ではなさそうだと思うようになってきた週末。遊びに(来るつもりだった)きた母はベッドでウンウンアーアーうなる息子を見てさすがに心配になり、近所の内科へ行くことにしました。このとき「盲腸」という単語は聞いたことぐらいはありましたけども、なんかお腹の痛くなる病気という認識ぐらいしかなく、全く頭に浮かんでいませんでした。
[https://youtu.be/IdeJskGOC3Y:embed]
(最近の動画では、お盆やりました)
病院嫌いでございました(今もだけど)私、さすがに重い腰(というか腹)をあげます。もう正直体を起こすだけで
「んああああああ!!」
っていう感じ。そこまで叫んではないけど。
近所の内科は歩いて10分。「お腹がやけに痛む、熱がある」ということを受付に伝えて、ソファーにぐったり。そんなに待たずに通してくれた気がします。で、ベッドに寝かされます。「そこに寝てくださいね~」うん、もうずっと寝ていたいですここで。布団をくれ。
で、触診というやつですね。優しいおじさま先生に診てもらいます。
先生「ここ痛みますかー??」グイグイ
ぼく「うああっ!!痛みやす!!!」
先「あ、はい。盲腸ですね~」
はい確定。うーむさすがお医者様。ワイルドスピード。このスピードで日本の政治もやってほしいです。
あーあ、なんかめんどくさい病気なっちゃったよ…学校どうすんだ…という憂鬱な気持ちになります。かといって、現状が全くわからない不安な状況からは解放されたことに安堵する自分もいました。
自分は昔から病院にかかっていろいろ治療してきてもらった経験があるのですが、病気を告げられた時って不思議な感情になるんですよね。「うわ、これから治療とかで痛いのかな…でもこれでお医者様に治してもらえるってことか…」みたいな。たぶんいろいろ痛かったりするんだろうけど、健康に治してもらえるならがんばろう…というマイナスの気分とプラスの気分が入り混じった感じなんですよね。
そのようなプラスの感情があったのもそれはそのはず、おじさまお医者様にお話を聴いてみると、「最近の盲腸ってのは、軽く手術をして1日入院するぐらいのものですから、2.3日あれば健康になりますよ」とのこと。
ほう!なんか今はクソ痛いけど、それぐらいでなんとかなるのか。そう思ったからなんですね。
本当に初期の症状だとレーザーを照射して「散らす」(病状の進行を止める)ことで経過観察にとどめることができるそうですが、さすがにぼくの状態だとそれは無理。でも腹腔鏡手術というのがあって、お腹をおモッキリあけなくても局所的に手術することができるそうです。盲腸はなってしまった以上 切除するしか方法はなく、開腹するかこの方法が主流のようです。
なんだ、それなら楽そうだ。麻酔も局所的に使うだけ。術後の心配もなさそうです。フン、あんなスペイン語の試験なんか行かなきゃよかったぜ、とか今になって謎に偉そうな気分になります。遅い。
手術はするしかない以上、覚悟を決めます。タクシーを手配してもらって、書いていただいた紹介状を持って手術が可能な総合病院へ送ってもらいます。あーあ、せっかくサークルで仲いい友達とかできてきたのになー…とか思ってた気がします。
運転手さん、ぼくは今から手術とやらを受けてきます、応援してください…とか考える余裕はなかったかも。正直まあまあ痛かった。動くたびに「hんあああいい!!」と心の中で言ってました。
[https://youtu.be/nMfjMLlEWa41:
embed]
(実際の音声)
というわけで車で20分ほど、さまざまな設備がそろっている総合病院に着きました。紹介状を持っているのでスムーズに通していただいて、いろいろ検査を受けます。どんな状態になっているのか、より詳しく確認します。「はやく手術して、楽にしてくれー!」と言いたくても、そうはいきません。手で触って「あ、盲腸ですね。じゃ、手術やりやーすw」という雑な流れでされたら、命がいくらあっても足りません。まあ命自体は3コぐらい欲しいけど。
正直このあたりはそれなりの高熱がもう出ていてあんまりはっきりとした記憶がないんですが、(妄想で付け足しながら)できるだけ書いておきます。
まずは問診、および触診。お医者様とお話して、病状を説明していきます。やっぱり左下腹部が触られると痛い。盲腸で間違いなさそうです。
そして血液検査やレントゲン検査。うーむ採血の針ってそれなりに痛いな…とか思いながら。のちに毎日採血しなければいけない状態になるとは、このときは思いもしません。まだ「血って、けっこう黒いンゴねえ」とか思ってました。
X線もやりましたね。あんまよく違いがわかんないけど。数学は関数でくじけたので(証明問題とかもクソだったけど)、yとかxとかよく存じ上げません。
ま、ここまではたぶん誰でもやるんですよね。盲腸になった人なら。
ところがどっこい。
どうもお医者様の顔が険しい。詳しくは覚えてませんが、白血球の数字とかが確か異常すぎるとかだった気がしますね。とりあえずなんかこう、「あれ、ちょっと普通とちがうネ」という雰囲気が伝わってきました。
白血球?あの中学の理科でやった?
酸素を運ぶのが赤血球。悪い奴を退治するのが確か白血球。ええやん。戦うやつが多いほどええやん。
ただまあ、白血球が多いということはそれだけ悪い敵が増えまくっているということ。熱もどんどん上がっていきます。
先生「ちょっと、ほかの検査もしましょうか…」
というわけでさらに検査追加。なんだかよくわからない暗い棟まで行って、今度はさらに大仰な検査になりました。
超音波検査。CTスキャン。
おお、なんか医療ドラマで聞くようなワードたちです。なんか言葉がかっこいいですよね、超音波検査、CTスキャン。「じゃ、CTスキャンやりましょう」って言ってみたい。小さいころのお医者さんごっことかで言ったらウケそう。大人に。
とか今なら軽口たたけますけども。当時の徐々に高まる不安感といったらなかったですね。歯医者さんの治療中で削られてるときに、
「あっ」
とか言われたらビビりますよね。めちゃこわい。そんな感じです。わかりにくいな。
検査結果を見るたびに、先生たちの顔が険しくなっていきます。うん、なんか途中からやけに人が増えてた気がします。
誰なんだあなたたちは。どこの人なんですか。僕は何をやってしまったんですか。手術はいつするんですか。人はなぜ生まれたんですか。
悶々と考えてもなにもわからないのに、高熱君の頭はいろいろ想像してしまいます。予想外の長い検査時間。先生たちはウンウン協議しています。
盲腸ってよくある病気じゃないのか?そんなに考えなければいけないのか?
実際 よくある病気で、昔からあるから研究もされてきました。なってしまう原因こそわからないにせよ、治療方法はちゃんと確立されている病気です。
もしかして僕はそんな単純にはいかないぐらいに進行してしまったんだろうか?
長いこと暗い廊下の長いすで、母と待ちました。母なんか検査すらなくてひたすら待つつしかないのだし、もっと気が気でなかったかもしれません。ほんとうにたくさん迷惑をかけてしまいました。
そしていろいろ追加の検査も終わり、いよいよ診察室に呼ばれます。
そこで聞いたのは、衝撃の言葉でした。
先生「病状が進行したことで虫垂(悪くなったところ)に穴が開き、膿がどんどん大きくなっています。腹膜炎を併発しています。今すぐにとりかからないと危険な状態です。緊急手術しましょう」
…アレレ??? これ、人生ヤバめ??