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【62】スーパー盲腸になった話(3)
なんかちょうど最近、盲腸と戦った友人から退院報告がたまたま来ました。無事に退院、おめでとう!
※この記事あたりからいろいろ下品なワードが出てくると思います。苦手な方はバックしてください。
お医者様から聞こえたのは耳の疑うような言葉でした。
「盲腸、正確には急性虫垂炎と呼びますが、重度になると腹膜炎を併発します。腹膜炎というのは、虫垂に穴があき、腹部を覆っている膜に炎症が起きることです。このままだと、しにやーす」
いや、「しにやーす」とは言われてないですけどね。もちろんそんなお医者様ではなかったですけど。ちょっと表現柔らかくしたいじゃないですか。だって字面怖すぎ。お腹に炎症。つまり盲腸(虫垂)という大腸のさきっぽだけが悪くなっていた状態から、周りの腹部にまで悪影響が及んでいる状態ということです。
これはヤバい。とにかくヤバい。手術していつ学校に通学できるようになるかな~とかそんな状況じゃなくなってきました。英語は早々にサボってこれ以上行かないと単位が危い。スペイン語も期末試験がそもそも受けられるかわからない。世界史概説、ちゃんとコメントシートまじめに書いてたのに…。
そんな目先のことより、人生全体について考えなければいけません。続けて先生の話を聞きます。
「虫垂炎は腹腔鏡手術が多くなっているという話はしましたが、秋吉さんは緊急状態なので開腹手術になります。しかも検査はいろいろしたものの、正直お腹を開いてみないとわからない部分も多く、悪い部分を一気に取り除けるかもわかりません。その場合は、複数回にわたる可能性があります」
ファーwwww。ラーwww。ソミレドーーwww(錯乱状態)。
下手したら、数か月?1年?でももうこういわれたら僕にできることはありません。お医者様にできる限りのことをしてください、僕はただ従います、という感じでした。
「今日はもともとは日曜日でお休みだったんですが、外科の優秀な先生をお呼びします。その方に手術を行っていただく予定です。」
あ、ありがたい。休みの日に呼び出して本当に申し訳なさすぎるけど、そんな方がいるんだ…と思えました。よろしくお願いいたします。
で、すこし待って先生がご到着。この先生を仮名、久遠寺先生としましょう。なぜならかっこいい苗字だから。実際の先生は、物腰柔らかく、笑顔が素敵な先生です。
久遠寺先生「手術を担当します、久遠寺です。よろしくお願いします。検査結果を見ましたが、確かにだいぶ進行してしまって危険な状態です。今日、手術をしましょう」
https://www.youtube.com/embed/7ilaClUtoOs?feature=oembedyoutu.be (一人暮らしをはじめ、ウキウキしていた矢先のこと)
ふつうは手術前日は食事制限をして…とかあるのでしょうが、とにかく僕の場合はお腹をかっ開かなければやばい。そういうことだそうです。もうこの時点で意識朦朧な中きいてます。
わからぬなら 開けてみせよう おなか
「これはどうしても手術前に許諾をいただかないといけないので申し上げますが、状況によっては人工肛門を設置することもあるかもしれません。本当にひどい場合なので、ないと思いたいですが…。もしそうなった場合の、サインをいただけますか」
ええ、もうなんでもサインします。人工肛門か。なんか聞いたことはあるけど、よくわからない。それでも助かるならやってほしい。いっそ脳も人工にしてもらって、もうちょっと数学ができる頭にしてほしい。てか人体の8割とかもし人工になったら、それは人間と呼べるんだろうか?サイボーグ?サイボーグ秋吉。プロレスラーにいそう。それかR1グランプリに出る芸人とか。
このときの状態だと、もうなんでもサインしてたと思います。腹部の猛烈な痛みに加え、38度後半の高熱。「7000億 借金したいので、連帯保証人のサインの欄にお願いします」って言われてもしてたと思います。
いろいろもろもろサインをして、いよいよ手術です。手術直前に、手術部分の毛を取り除くそうです。看護婦さんに、おへその毛を取り除いてもらいます。
「緊張しますよね、がんばってくださいね」
はい、なんとか耐えようと思います。がんばるのは僕じゃなくて、100%先生なんでしょうけども。
さあ、手術室に向かいます。付き添ってくれた母ともここでいったんお別れです。母が内科に連れて行ってくれなかったら、この状況にすらなっていなかったかもしれない。本当に助けられました。とりあえず、やることやってもらおう。
手術時の服、上着?というんでしょうか。あのエプロンみたいなやつ。あれをつけます。そして手術台に乗せられます。
頭上のライト、クソデカい。うわ、医療ドラマで見たやつそのまんまです。ライトがつくときに「ガチャーン」て音がなるやつ。いよいよ本当に手術されてしまう。いやでも緊張します。
でも。確かこの手術室で、ポルノグラフィティの曲がかかってたんですよね。たぶん「ミュージック・アワー」。とりあえずボーカルの岡野さんの声が聞こえたのは覚えてます。
僕の好きそうな曲を選んでくれたんでしょうか。最高、ブチ上がり。「君が胸を焦がすから~」焦がしちゃったのは僕~。
ゾロゾロワヤワヤ、手術準備もそろったようです。緊急の手術なのに複数人動員して、本当にありがとうございます。
先生「それでは、手術を開始します。全身麻酔で、口から空気を送り込みます。合図をしたら、息を思いっきり吸ってください」
たしかこんな指示だったと思います。
酸素ボンベのように吸入器をつけて、合図を待ちます。
お、なんか空気がきた。
ふあああえあああああ!!!!
全身麻酔ってすごいですね。当たり前ですけど、手術が終わるまでもちろん起きることはありませんでした。目覚めたら、台にあおむけのまま病床に移動しているところでした。まじで一瞬、あれなにしてたっけ…ってなります。
母と、何人かの看護婦さんが付き添ってくれて、なにか声をかけてもらったような気がします。やったーまた母の顔が見れました。「がんばりましたね!オペ終わりましたよ!」
おお、とりあえずなんとか終わったらしい。なにやらお腹が重いけど、無事生きている。ありがとうございます、久遠寺先生!!
8時間にわたる大手術はなんとか終了。果たしてこの先は…